映画感想

男なら夢に殉じろ!『華麗なるギャツビー』感想

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フィッツジェラルドの不朽の名作グレート・ギャツビー
ここ日本でも人気が高く、翻訳も数種類出ています。
ちなみにわたしは野崎孝さんの翻訳で読みました。

映画化も数度されているようですが、今回は2013年のバス・ラーマン監督、レオナルド・ディカプリオ主演の最新版華麗なるギャツビーを観ました。
前々から観てみたいなぁと気にはなっていたのですが、「ディカプリオがギャツビー?いやいやいや……どうなん(失笑)」という感じでイマイチ触手が伸びなかったのですが、観てみたら意外と嵌り役で本当にお見逸れしましたという感じ。
世評ではあまり芳しい評価を受けていないようなのですが、個人的にはかなり良く出来ていたのではないかと思っています――映画単体としても、原作再現の面でも。
それでは内容に触れる前に本作のあらすじを――

狂騒の20年代と称され超好景気に沸いていた1922年アメリカ、中西部出身の主人公ニックはロングアイランド・ウェストエッグに居を構えウォール街の証券会社に勤めている。
入り江を挟んだ対岸・イーストエッグにはニックのいとこデイズィとその夫トムのビュキャナン夫妻が住む豪邸が見えている。
粗野で傲慢な男トムは妻がいながら愛人遊びに興じる癖があり、そのことが原因でデイズィとの夫婦仲にも亀裂が入り始めている。
ニックの家の隣には豪華な邸宅が立っており、ギャツビーという男が毎夜盛大なパーティーを開いている。
ギャツビーという男について尋ねるとある者は「戦時中ドイツのスパイだった」と言い、別の者は「恐ろしい人殺し」だの「どこぞの皇太子」だの正体が掴めない。
ある日ギャツビーから昼食に誘われ、彼の黄色い高級車でニューヨークへ向かう途上、彼の口から自身の来歴を聞かされるがその言葉を何故か信用できないニック。
ニックにたっての頼み事があると言うギャツビー、それはデイズィをお茶に誘うのを取り持って欲しいということだった――

バズ・ラーマン監督の作品は『ロミオ+ジュリエット』『ムーラン・ルージュ』を随分昔に観たぐらいです。
ロミオ+ジュリエット』を地上波で偶然観ましたが、たぶん観た当時自分は小学生か中学生ぐらいなのであんまり内容も覚えてないし印象もほぼ残ってないです。
ムーラン・ルージュ』はミュージカル調の愉快な映画で結構お気に入りの一本ですね。
本作とほぼ同年代のパリを舞台にした『ムーラン・ルージュ』でも最新流行のR&BやHIPHOPが劇中で流れるという時代錯誤な演出をしていましたが、その辺りの料理の仕方もバズ・ラーマン作品を好きになるか嫌いになるかの分かれ目になるのかもしれません。
個人的には凄く良かったんじゃないかと思っていて、特にギャツビー登場のパーティーシーンは圧巻で、『ムーラン・ルージュ』でのダンスホールのバカ騒ぎを思い出す素晴らしい出来だったと思います。
ギャツビーの富の煌びやかであるけれど所詮は虚飾でしかないというアイロニカルな設定を考えると演出の嵌り具合は『ムーラン・ルージュ』以上なのではないかと思います。

カメラワークが終始動きまくり、カットも目まぐるしく切り替わるので初見時は少々面喰いました。
元が文学小説ですし文章を読むときは各々のペースで読み進めるものですから、こういった息もつかせず観客を振り回すような演出は原作の雰囲気に反してるのではないかとも思いましたが、何度か見返してみるとこの手の演出にも一応緩急を付けているようです。
都会の喧騒を写すシーンでは大胆にカメラを動かし、しっとりしたシーンではカメラもヌルっと動かす(止まりはしない)、みたいな感じ。
まぁでも他監督の映画と比べるとまぁ忙しない!
劇場公開時は3D上映されていたそうですし、色んな意味でってしまう人もいるのではないかと。

キャストにかんしては前述の通りディカプリオは嵌り役だったように思います。
ニックの仲立ちでギャツビーがデイズィと再会するシーンはギャグも切れきれで「あれ、こんな笑えるシーンだったんだ!」と原作を読んでいた時とは違った肌触りを感じられて良かったです。
デイズィ役のキャリー・マリガンは過去記事でも扱った『ドライブ』でも似たような感じで主人公を破滅に導くヒロイン役をしていましたね。
キレイ」っていうよりは「カワイイ」女性って印象があります。
なんでしょう、庇護欲を掻き立てられるような雰囲気があるんでしょうか?たぶん。
個人的に特筆すべきはベイカー役のエリザベス・デビッキ
長身かつ小顔で手足もスラリと長く、冗談抜きで少女漫画から出てきたのかと思うぐらい。
登場シーンは原作からカットされたりもしていて多くは無いのですが異様に存在感のある演技でした。
特に物語後半でギャツビーがトムに掴みかかるの所で口をあんぐり開けて驚いてる表情、くそ可愛い!!
あとはマートルのビジュアルが思った以上にイロモノで笑いました。
おいトム、浮気するにしてももっと他にいるだろう
他のキャストも概ね良い感じで、特に浮いてるような人はいなかったと思います。

最後に原作からのカットシーンについて。
2時間程度の尺に収めなければならない以上ある程度割り切りも必要ではあるので、どこをカットしていくかの取捨選択は非常に難しいとは思います。
本作は「ギャツビーという男の物語である」ことを強く意識して構成されているようで、ニックとベイカーの恋慕に関してはほぼ全部カットされています。
まぁ、この辺りのカットは妥当かなとも思いますし、場合によってはベイカーというキャラも丸々カットできそうな気がしなくもないですが、そうなるとエリザベス・デビッキの出番が無くなるので、ちょうど良い落としどころだったのではないかと!
それとギャツビー退場以降の展開に関しても大幅に切り捨てられており、少々この辺りは惜しく感じるところではあります。
特に葬儀のシーンや、ギャツビーの父親が持参しニックに見せてくれる「ある品物」の件はギャツビーという存在がゴシップで取り沙汰されているような金の亡者ではなく、暖かな血の通った一人の人間だったことがわかる素晴らしいシーンなので、カットになってしまったのは非常に残念ですね。
一応カットになってるシーンも撮影は一通りしていたようで、特典未完成映像が収録されており、出来も悪くないだけに……。

総評としては思った以上に悪くない
たしかに完璧な映画ではないでしょうが、原作を読んだこと無い人にも『グレート・ギャツビー』という作品に気軽に触れられるという点では素晴らしい映像化だったと思います。
原作を読んだことのある人にとってもVFXでゴリゴリに飾り立てているにもかかわらず内容は古典文学というある種の新鮮さは試みとしても観ていて楽しいものでしょう。
個人的には芳しくない世評にプラス1☆足してあげたいくらいの出来でした。

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