映画感想

何もかも格好良い映画『ドライブ』感想

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絶賛花粉症で身体中の穴という穴から液体が噴き出てくる私です。
現在日本でも大好評公開中の『ラ・ラ・ランド』でお馴染み、ライアン・ゴズリングが主演を務めた2011年公開の映画ドライブを鑑賞しました。
監督のニコラス・ウィンディング・レフンは本作をきっかけに日本でも名が知られるようになったそうですが、私はその辺はよく知らないので割愛。
それとなく【カーチェイス物】が観たいなぁという軽い気持ちで手に取ったのですが、色んな意味で期待を裏切られる作品でした。
前口上はこのくらいにして本作のあらすじから――

自動車修理工の主人公、たまにハリウッド映画のエキストラやスタントマンのアルバイトをしつつ夜は強盗相手の逃がし屋ドライバーという裏稼業を営んでいる。
修理工場での主人公の雇い主シャノンは彼の並外れたドライビングテクニックを見込み、プロレースへの参戦で一山当てようと街の有力者であり旧知の仲のバーニーに融資を申し込む。
シャノンと過去に確執がありながら現在はバーニーとコンビを組むマフィアのニーノには苦い顔をされるが何とかレース参戦のための軍資金を得た二人。
一方で主人公は同じアパートの隣室に住まう子持ちの人妻アイリーンと彼女の車を修理した事から深く知り合うようになり、逢瀬を重ねるうちに互いに惹かれあっていく。
そんな折に服役中だったアイリーンの夫スタンダードが刑務所から帰ってくるが、スタンダードは刑務所でとある危険な連中から借金を作っており、借りを返すため質屋強盗を半強制されてしまう。
スタンダード、ひいてはアイリーンとその子ベニッシオを助けるために主人公はドライバーとして強盗仕事を手伝うことになるが、スタンダードが質屋の店主の反撃を受けて銃殺されてしまう。
盗んだ金を手に突然現れた追っ手を振り切り、モーテルに逃げ込んだ主人公、その金が実はマフィアの持ち物だったことがわかり、主人公を消し金を取り戻すためにマフィアの手の者が彼を追い始める。

上のあらすじからも分かるように、ライアン・ゴズリング演じる今作の主人公は名前がありません。
クレジットでも【ドライバー】と記載されているだけで、誰も彼を名前で呼ばないし、過去や生い立ちもほとんど明かされません。
せいぜい明かされる過去は主人公が働いている自動車修理工場の社長、シャノンが「数年前に(主人公が)突然やってきて仕事をくれと言ってきたので雇った」というザックリした話しか出てきません。
その上、主人公の台詞も作中で数えるほどしかない、あまりに(過剰なくらい)寡黙な人物造形なので、非常にミステリアスで観客の興味を引く魅力的な人物造形になっています。
終盤までこの辺りの謎は明かされないので、この点が気に入らないという人もいるかもしれません。
なぜ彼はこれほどまでに高度なドライビングテクニックを持っているのか?
しかも物語後半から主人公は人が変わったかのように豹変し大活躍するのですが、どう見てもその道のプロとしか思えない!
きっと元グリーンベレーとか、その手の過去があるに違いないと想像を掻き立てられます。
個人的にはそういう想像の余地を残した話は嫌いじゃないですし、本作はそんな主人公の過去なんて疑問を吹き飛ばすほど後半で物語が急展開するので初見ではそこまで気になることはないと思います。

一つ主人公周りで釈然としない部分があるとすれば、主人公がヒロインの人妻アイリーンにいつの間にやら惚れているということ。
主人公が無口な上ポーカーフェイスなキャラなため、どの時点でヒロインに惹かれたのかよくわからない。
アイリーン役の女優が有無を言わさぬぐらい魅力的で男なら誰しも夢中になってしまうほどの絶世の美女であればいいですが、つーかそんな女優はいないでしょうが――。
それにしてもアイリーン役のキャリー・マリガンという女優、たしかに可愛らしい人かなぁと思いますがそこまで超常的な美女って感じではないし、その上作中では子持ちの人妻ですからね!
この疑問に対する答え①主人公が単に人妻好き②主人公は作中で描かれているずっと以前からアイリーンに惚れていた
個人的にはの方であることを望みますが、①だったらなかなか笑えますね。
幼な妻萌え~ってヤツですかね、うん。
わからなくもない!

ストーリー自体は結構王道というか、よくあるクライムサスペンスって感じなんです。
何の気なしに盗んだ金が実は危ない奴らの持ち物で~なんてもうテンプレ的な展開ではあるんですが、そんな凡百の作品群に埋もれない魅力を本作を持ち合わせています。
まずエキセントリックな演出
超シリアスなシーンでやたらポップなディズコミュージックを流したりするんですが、そのギャップ感が妙なオシャレさというか、小粋さを演出しています。
主人公に代表されるように無駄なセリフを省いて、目で語るような演出も映像作品だからこそできることというのをやろうとしているのが分かります。
ご丁寧に説明してくれないことが多いので観ている側も読み取る努力をしなきゃいけない、ゆえに目が画面に釘付けになるという。
いやぁ上手い、巧い見せ方です
画面構成の色彩感覚や光の使い方とか凄く上手くってどのシーンを切り取っても凄く絵になる。

極めつけはラストですよ!
もうここは百聞は一見に如かず、観てくれれば分かります!
いや、観なきゃ伝わらない格好良さです!
全てをやり遂げたヒーローはただ無言で静かに立ち去っていくのみ、この潔さよ!
男の子なら一度は憧れるような理想の英雄像
観た者の心を少年に引き戻してしまうようなクサいぐらいのカッコよさに溢れた良作です、必見!
あ――派手なカーチェイスは殆ど無いです。悪しからず。

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