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最新作『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』感想

投稿日:2017年3月25日 更新日:

現在絶賛公開中のドラえもん長編映画最新作『のび太の南極カチコチ大冒険』をドラえもん好きの知人と一緒に観てきました。
今作は公開前から従来と一風変わった雰囲気の宣伝ポスターが一部で評判を呼んでおり、かくいう私もその話題から興味を持った口です。
調べてみるとイラストレーターの丹地陽子さん、ヒョーゴノスケさんという方々のデザインということですが、色々と想像を掻き立てられるような素晴らしい出来になっていると思います。物によってはどこぞの大作RPGゲームのジャケ写か何かですかと言わんばかりのオーラで思わず二度見してしまいます。
まんまと東映のマーケティング戦略に嵌ってしまったわけですが、結果として騙されて良かったと思えるぐらいには良い出来の作品でしたよ!
ではまず公式サイトによるあらすじを――

真夏の暑さにたえかねたのび太たちが向かったのは、巨大な氷山。
ひみつ道具「氷細工ごて」で遊園地を作っていたのび太たちは、氷漬けになっている不思議な腕輪を見つける。
調べてみたところ、なんと腕輪が氷に埋まったのは、人が住んでいるはずもない10万年前の南極だった!
腕輪の落とし主を探して南極へと向かうドラえもんたち。
その前に、なんと氷の下に閉ざされた巨大な都市遺跡が姿を現す。
「10万年前に行って、落とし物を届けよう!」ひみつ道具「タイムベルト」で10万年前に向かうドラえもんたち。
そこで、凍りついてしまった自分たちの星を救うため、宇宙を旅し、腕輪の謎を追う少女カーラとヒャッコイ博士に出会う。
そして、腕輪を巡り、ドラえもんたちは、地球が凍結する危機に直面する。

私が観に行ったのは平日だったのもあり客の入りはそれほどではありませんでしたが、それでも親子連れが数組おり上映中も客席のそこかしこから可愛い声が上がっていたのが印象的でした。
これだけ長い年月子供たちに愛され続けるドラえもんというコンテンツの偉大さをひしひしと感じますね。
鑑賞前に上記あらすじすらも調べず、まっさらな状態で観に行ったのもあり、開幕早々に今作のヒロイン的ゲストキャラクター・カーラの登場でく、くぎゅ!?と発祥しかけるハプニング。
そうです、釘宮理恵さんが出演されているんですね。
それと全く気がつきませんでしたが他にも浪川大輔さん、遠藤綾さん、東山奈央さん等々の声優陣、フィギュアスケートの浅田舞さん、織田信成さんまでキャスティングされていたらしいです。
この冒頭のカーラ達のシーンが最高にかっこいいアクション作画で観客の心をしっかり掴める導入になっていたのも良かったです!
OP曲「夢をかなえてドラえもん」に合わせて氷の遊園地ではしゃぐのび太たちも可愛くて、声優キャスト交代後のドラえもんを殆ど観ていない自分としてはまさかこれほど力を入れて作られているとは予想外でひたすら画面に釘付けでした。

さてその後、今作におけるマクガフィン的アイテムの腕輪の謎を探るべく南極へ探検に向かうドラえもん一行。
この南極探検の一連のシーンも素晴らしい!
目を見張るほど美しい星空を背景に吹きすさぶブリザードの中を橇で疾走する描写は一見の価値があります。
南極をただ綺麗でファンタジックな世界としてではなく、自然の厳しさや恐怖も感じられる絵作りになっていたのが素晴らしいと思います。
そう、意外と今作は随所で「恐怖」の描写をしっかり入れているのが大人の鑑賞にも耐える作品になっている要因なのかなと思います。

その後、なんやかんやあって南極の地下で氷に閉ざされた巨大遺跡を発見するのですが、この辺りで「あれ‥‥これって‥‥ラヴクラフトじゃね?」と少し思い始めました。
20世紀初頭の怪奇小説作家H・P・ラヴクラフト、SF要素のあるホラー小説を多数発表し、それらは後にクトゥルフ神話という名で今なお世界中で愛され、多くのフォロワーを生み出しております。
ここ日本でもクトゥルフを題材にした創作物やTRPGなどを通して非常に人気が高いですね。
そんな彼の作品を纏めた全集が創元推理文庫から翻訳出版されておりますが、その第4巻『ラヴクラフト全集4』に収録されている傑作長編「狂気の山脈にて」を彷彿とさせるような物語展開。
いやいやまさか、ドラえもんでクトゥルフ神話なんて有り得ないでしょ、あははは~‥‥なんて思いながら観ていると出てきたのが‥‥

タコのように触手が生えた巨大生物。

はーい、SANチェックです\(^o^)/
もうこれは確実に「狂気の山脈にて」を下敷きにしてると思われます。
それともう一つ、これは鑑賞後に一緒に観た知人から教えてもらったのですが、元々この地下遺跡のエピソードが原作だか旧ドラアニメにあったそうですね。
場所は南極ではないそうですが、「ここほれワイヤー」や「地底探検車」も出てくる非常に似たエピソードがあるそうです。
それら過去作を上手く組み合わせて今作は作られているようですね。
ま、ラヴクラフトや旧ドラを知らなくても鑑賞に際して問題はありませんのでご安心を。
ただ私としてはまさかドラえもん映画でこれほどコズミックホラーな要素を見せられるとは、良い意味で期待を裏切られたなぁと感心していまいました。
ホラーと言えばドラえもんのドッペルゲンガー的な敵が出てくるシーンなんかは劇場の子供たちが「こわーい」なんて言っていたりして、やはり恐怖演出が今作では特徴的だったような気もします。

今作は「タイムベルト」というひみつ道具で10万年前に行って帰ってを2回ほどするのですが、その中で10万年という時間を越えてある物を受け渡しする仕掛けがあり、もしかしたらこの部分が子ども達には難解な部分かもしれないなぁと思いました。
別段ややこしいことをするわけじゃ無いですし、作中でもなるべくわかりやすく丁寧に描いていましたが、劇場内でも子供たちが小声で「なんでぇ?」と隣の親に尋ねていたりして、きっと劇場を出てから親御さんたちは質問攻めにあうのだろうかと軽く同情してしまいました。
まぁでも、そういう難解な要素も大人になってから見返したときに疑問が解けて懐かしく思えるであろうし、こういったファミリー映画ならではなのかなぁと思います。

他にもストーリーについていろいろ語りたいのは山々ですが、現在公開中の映画ですしネタバレは極力さけたいのでこの位にしておこうかと思います。
ただ一つ、文句を言うわけではないのですが個人的にポスターやキャッチコピーを見たときから「泣けるシーンがあると良いなぁ」と期待して行ったのですが、泣けはしませんでした
演出の仕方次第では泣かせようがいくらでもあったような気がするのですが、過度にお涙頂戴な雰囲気にならないよう製作側がブレーキを踏んでいたように思えます。
まぁ、この辺りは好みの問題でしょうか。
全般的に話運びのテンポも良く、作画は気合が入ってますし、手に汗握る展開のオンパレードで大満足の映画でした。
子供向け映画だからと言って侮れませんね。

ちなみに一緒に観に行った知人は過激な旧ドラ原理主義者だったので「すごく面白かったけど、(ドラえもんたちの)声がなぁ~‥‥」と言ってました。
そんないつまでもキャスティングに不満を持ってても詮無いじゃないか、今のドラえもんだって頑張ってるし可愛いじゃんと言うと「ニワカにはわからんよ」と返されてしまいました。
手厳しい‥‥。

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